ここで、次に良く聞かれる質問は、「名前がいいの?ロゴ(図柄)がいいの?」 です。

 

回答は、「どちらでもOKです」

 

なんだ、と思われるでしょうが、以下のような理屈になります。

 

よく弁理士が使う言葉に「標準文字」という言葉があります。聞いたことはあるでしょうか。特に使用するときのフォント等を決めずに商標権を取ることができる形態です。

 

実は、ここで誤解が生じています。フォントを決めていないのだから、どんなフォントでも権利が有効と考えてしまう。例えば「○○○」が「標準文字」で登録されれば、どんなフォントや書体であろうとすべて自分の権利だと考えてしまう。でも、これは誤りです。

 

これは、あらゆるフォントに対応するものではありません。例えば明朝体のような標準的なフォントの文字商標であるのにすぎません。つまり、装飾文字などでまったく同じ「○○○」が登録される可能性もあるのです。もちろん、両者が別物であると区別できる程度に装飾されている必要はありますが・・・

 

本来、「標準文字」を勧めるのは、実際に使用するフォント、デザイン等が決まっていない場合だけ。決まっていれば、そのフォント、デザイン等で登録するのが本筋です。つまり、権利範囲で考えれば、両者に大きな差はないのです。

 

では、権利の取りやすさに差はあるのでしょうか。一概には言えませんが、単なる文字だと商標登録できなくても、ロゴを含む図柄とした場合に商標登録できることも実際にはあります。もっと言えば、文字商標がすでに登録されていても、同じ呼び名のロゴを含む図形商標を登録することができる場合もあるのです。

 

ですから、どのような商標を使うのかについて、本来は商標権を取りに行く時点でじっくりと検討しておく必要があります。それによって、採るべき方策が変わってくるからです。

 

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